TOP 社長を目指す方程式 決める、そして動かす… 橋下徹氏が貫く、リーダーに必須の「実行力」

2019/06/25

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社長を目指す方程式

第16回

決める、そして動かす… 橋下徹氏が貫く、リーダーに必須の「実行力」

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント
 

私たちは、目の前の一つの案についてメリット・デメリットの確認検討をして、ときに堂々巡りに陥ることがあります。
そうではなく、新しい案と現状、自社の案と他社の類似・競合商品を比較検討する。あるいは三案提出に習って、もう二案を策定し比較検討する。

 

何かを決めるときに、「比較する」ということの重要性を、橋下さんは教えてくれます。私たちもすぐ導入できる決め方ですね。

 

こうすることで、部下の案の問題点をあげつらうのではなく、よりましな方を評価し選ぶ、よりましな方の問題点には目を瞑るという、「前向きリーダー」になることができます。

 

リーダーはダメだし人間で終わらないこと。評論家・コメンテーター型上司は、真にデキる部下・同僚・経営者から実際問題、疎まれますし、何よりも企業の中の“非生産的人材”です。働き方改革、生産性向上がテーマの時代において、最も不要な人材ですね。

 

◆橋下さんが考える、トップとしての仕事とは

橋下さんが“経営者的”だなと感じる思考・行動がいくつかありますので、合わせてご紹介します。

 

・リーダーの仕事は「部下が気づいていない課題を見つけること」「部下ができないことを実行すること」

 

「現場における実務上の問題点というものは、探せば山ほど出てきます。細かい問題点を指摘し始めたら切りがありません。実務的な問題の解決は現場に任せればいいのです。やはり、それよりも現場が気づいていない大きな問題点を探り出して、それについて現場ときちんと話し合いながら、最後は決断・判断・決定をしていくことがリーダーの役目です。」(同書)

 

部下が気づいていない課題、現場が気づいていない大きな問題点を見つけるために、トップ(になる人)はたゆまぬ勉強が欠かせない。一つのやり方として橋下さんは、毎日、主要な新聞5紙などを読み、様々なニュースに対して「自分はこう考える」という持論を頭の中で構築する作業をしているそうです。
このトレーニングはいいですね。確かに世の中の出来事・物事について自分なりの捉え方と解釈ができることが、社長になる人の必須要件の一つであると私も思います。

 

・トップは「全体最適」を考える。「部分最適」案は採用しない(されない)

 

「僕が部下からの話を聞いていて『これはちょっと採用できないな』と思うのは、「部分最適」の案です。案を出している部長は、最適の案だと思って出してくるのですが、自分の部署・部門・領域にとっての最適の案にすぎないということがよくありました。つまり部分最適です。」(同書)

 

これも一般企業でも非常によく見る光景ですね。組織の中にいれば、自分の部署とせいぜいその隣接部署くらいしか視界に入っていないのが普通といえば普通です。
上司やトップに案をあげる際には、相手の視界を想像してみること。

 

 

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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