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2019/08/06

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社長を目指す方程式

第19回

言動から「相手の癖」を分析 上司に薦める部下・取引先との関係改善術

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

 

◆商談で、組織マネジメントで、4つの性格にどう対応するか

さてでは前回同様 、上司の皆さんとして実際にこれを商談で、あるいは組織マネジメントでどう使うかについて見てみましょうか。

 

まず、エクスプレッシブタイプとのコミュニケーションですが、エクスプレッシブは発言内容が直観的に変わる傾向にあるところが要注意です。これは必ずしも性格がいい加減という訳ではなく、新しいことに関心があるため意見が変わりやすいのです。とは言え、こちらとしてはコロコロ意見や判断を変えられても困りますよね。重要な方針などは変わる前に言質をとっておき文書化する、契約など重要なことは気が変わらないうちに済ませるというような工夫をするとうまくいくでしょう。

 

また、話を聞いてもらいたいスタイルなので、聞くことに集中しましょう。「ガッとやってさ」「ドーンと行こう」など、擬態語が多く理解に困ることもあるでしょう。ニュアンスを受け取ってあげられるときはまあいいですが、確認が必要なときには「具体的には?」「分かりました。こういうことですか?」と確認しましょう。気持ち重視で付き合ってあげられるときには、ノリで対応するのが良いでしょうね。
次にドライビングタイプとのコミュニケーション。ドライビングは感情を抑える傾向があります。このスタイルには同じく、こちらも感情を抑えた対応が好まれます。合理的な考えの持ち主なので、会話は論理的に進めること。結論から先に伝え、そのあと理由、具体例といったように順序立てて話していくのが良いでしょう。

 

ドライビングにはアイスブレークなど一切不要。無用な前口上を話し始めると、「時間がないので、手短に説明してよ」と言ってくるでしょう(苦笑)。端的に、結論から会話することです。具体的に、背景・理由も添えて話すこと。

 

打ち合わせや商談などで望ましい結論が出そうにないと、「もう、いいよ」と打ち切り、突き放すのもドライビングの特徴。このとき一度で折れて撤収してはもったいないです。相手は言い方がストレートなだけで、必ずしも言ってるほどNOでもなかったりします。「もう一度チャンスをください」など、リベンジ魂を示すと結構見込むのもドライビングの面白いところで、負けん気を高く評価する傾向がある人ですから、諦めないで!

 

エミアブルタイプとのコミュニケーションは、周囲の気持ちをくみ取ってくれる傾向にあり、人付き合いしやすいスタイルだと言えます。しかし、やや優柔不断なところがあり、決断に時間がかかってしまうのが難でしょうか。このときに決断を無理にせまればエミアブルは多大なストレスを感じてしまいます。決断ができない場面では、「一緒に考えませんか」など、相手に共感を持って接すると良いでしょう。

 

「分かった」と言いながら、返事を先延ばしにするのもエミアブルの特徴の一つ。このとき、相手の心の中に、なんらかの言いにくい懸念材料、懸案事項があるケースが多いです。(「ルーズ、優柔不断だな」)とイラつく前に、まずは具体的な問題を粘りつよくそれとなく聞いてあげると糸口が見つかることも少なくないでしょう。

 

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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