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2019/08/20

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社長を目指す方程式

第20回

上司を悩ます「できる・できない部下」の扱い方 誰に期待し何を任せるか

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント
 

「ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)」とは、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアスです。デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって1999年に定義されました。

 

なぜこのようなことが起こるのでしょう?
ダニングとクルーガーが2012年に行なった「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」という調査によれば、能力の低い人間は以下のような特徴があることが分かったそうです。

 

・自身の能力が不足していることを認識できない
・自身の能力の不十分さの程度を認識できない
・他者の能力を正確に推定できない

 

「井の中の蛙」と言いますが、 自分の能力、実力についてフィードバックを受けていない(受けても聞いていない)。他者で自分より優れている人たちのことを知らない、情報収集していない、他者と自己を比較、位置付けることができていない。
逆に力がある人ほど、このフィードバックを常に受ける、他の優れている人たちから学ぶ、自己と他者を正しく比較位置付けできることから、自分を過大評価することはないのです。
やる気があり自信があるのは素晴らしいのですが、いざ任せてみると、やるやると言ってやれず、結果を出せず…。その状況にアラートを出すと、逆ギレする場合も少なくないのがこのタイプ。

 

ある程度以上付き合いが長く深くなれば、上司のあなたに早晩ネタバレはする訳ですが、上司のあなたにも「正当性バイアス(これまで正しいと思ってきたことをそのまま正しいと思い続けたいという意識)」が働きますから、散々裏切られてきていても、「でも、本人は今度こそ頑張ると言っているし」と、懲りずにまた期待してしまうということが、非常に多く起こります。(ほぼ確実に、次回もまた、期待は裏切られるのですが。)

 

上司のあなたとしての「ダニング=クルーガー効果(Dunning– Kruger effect)」への防御策としては、部下のプレゼンテーションや雰囲気(オーラ?)に惑わされず、事実としての業務理解力や専門性、成果・実績をしっかりと、ある意味淡々と見て、その上で何をどこまで任せるのかの判断を行いましょう。

 

 

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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