TOP 社長を目指す方程式 営業、転職…年末追い込み、3つのズルいクロージングテクニック

2019/12/10

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社長を目指す方程式

第28回

営業、転職…年末追い込み、3つのズルいクロージングテクニック

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

 

◆サブスクリプション型サービスを申し込む際に気をつけるべきこと

最近はサブスクリプションモデルへのサービス移行が花盛り。それには提供される商品やサービスが「パッケージ」から「オンライン」に移行したこととも大きく関係しているでしょう。売り切り、買い切り型の販売ではなく、継続課金型のサービスへ。
この時代の流れにマッチしているのが、「ローボール」テクニックです。(いきなり投げたら捕球できないような「高いボール(high ball)」であっても「低いボール(low ball)」から徐々に高さを上げていけば捕球しやすくなる、ということに由来。)

 

あなたもおそらくここ最近、こんなプランのオファーを受けたことでしょう。「まず無料プランをお試しください。」「初回、無料!」「初月1ヵ月、無料!」。あるいはこうしたサービスの販売をされていらっしゃるかもしれません。
動画配信、コスメやサプリ、あるいは使い放題・借り放題サービスなど。「あ、いいな、これ」と思うと、その案内に、上記の「まず無料プラン」「初回無料」「初月無料」の文字が。おお、であれば試してみよう。で、申し込みを始めると、「それには半年のお申し込みが条件です」「クレジットカードを登録ください」。ここで、なんだ、じゃあやめよう、という人もいるとは思いますが、実際はかなりの割合で「え、そうなの?」と思いつつ、そのまま、まあいいか、使ってみて嫌なら解約すればいいし、とそのまま契約登録に向かいます。
相手がYESと飛びつく提案を先に受けさせてしまい、その後条件を釣り上げる「ローボール」テクニック。嫌な言い方をすれば、はじめに相手が承諾しやすい好条件を出しておいて、後から徐々に相手にとって不利な条件を突きつける手法です。

 

これが“強い”のは、私たちには「一貫性の原理」があるからです。一度自分が選んだ選択は、そのまま変えずに進みたいという心理を私たちは持っています。また、自分の選択は正しいと思いたい「認知的不協和」、一度選択したものを捨てるのは時間のロスになるという「コンコルド効果」「サンクコスト効果」も働きます。

売り手の立場としては、なるべくお客様の意思決定をスムーズに促進したいため、これらの人間心理に乗っ取った営業プロセス、マーケティングプロセスを取ることが大事だと言えますね。

 

*      *      *

 

これら3つの心理学理論は、おそらく皆さん、お気付きの通り、背中を押してあげるという意味では非常に良いテクニックですが、やり過ぎは禁物。相手が「騙された」ということにもなりかねないので、くれぐれも悪用厳禁でお願いいたします!

 ※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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