TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 できる40代は、「これ」しかやらない

2020/08/27

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第78回

できる40代は、「これ」しかやらない

  • キャリア
  • ビジネススキル
 

つまり、「一生懸命働けば働くほど、40代を後悔することになる」ということで、考えてみればこれほど理不尽な話もありません。

 

では、いったい何が問題だったのでしょうか。

 

ひと言で言えば「頑張り方、時間の使い方が間違っていた」のです。

 

私はこれまで、3万人以上のビジネスパーソンと出会い、そのうち1万人からは、成功の秘訣や失敗談、人生を豊かにするためのアドバイスなど、かなり詳しい話を聞いてきました。話を聞いた相手は大企業の社長や幹部クラスから、大小の会社の中間管理職、そして個人で活躍する人たちまでさまざまで、その中には誰もがうらやむ大成功を収めた人もいれば、順風満帆だった人生が一転、暗転してしまったような人もいます。

 

そうした成功・失敗の話を聞く中で、見えてきたことがあります。仕事や人生には正しい頑張り方、時間の使い方があって、そのセオリーや勘所を外してしまうと、いくら頑張っても成果が出ないということです。

 

しかも40代では、20代、30代の頃とは違った「頑張り方」や「時間の使い方」が求められます。それに気付かないと、「頑張れば頑張るほどダメになっていく」という負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 

◆例えばマネジメントの「これしかやらない」ポイントは5つ

本書で説明したポイントをいくつか紹介しましょう。例えばマネジメントのポイントは5つです。

 

 

1、まずは「任せ方の大原則」を知っておく

 

「任せ方」には大原則があります。それを覚えるだけで「任せられない」という悩みは解消します。一番大事なのは、任せる際に「これやっといて」ではなく、まずはそのタスクや仕事が「何のため」で「誰が」「どのように」使用するのかという背景を、丁寧にシェアすることです。その際、部下がアウトプットのイメージを理解してくれないようなら、見本や手本となるものを用意するのが効果的です。

 

「部下から出てきたアウトプットが思っていたのと違う」のは、ほとんどの場合、上司の責任です。前提の共有がしっかりなされていないから、そうなるのです。

 

 

2、30代で染みついた「評論家」の肩書を捨てる

 

プレイヤーとして非常に優秀なうえに弁も立つSさんは、20代で真っ先にチームリーダーに抜てきされるなど、大いに期待されていました。しかし、40代に入ると、急速に評価を落としてしまいました。

 

その理由は、経営陣が感じた「違和感」にありました。

 

Sさんは若い頃からしばしば、経営陣に対して現場や部下の不満をあげつらっては、「どうにかしてください」と直談判していました。若いころはこれが「現場の意見を歯に衣着せぬ物言いで訴えてくれる」と高評価だったのですが、40代になると、「彼の立場なら不満を言うだけじゃなく、解決策を持ってくるべきじゃないか」「これではまるで労使交渉だ」という思いが経営陣の中に芽生えてきたのです。

 

30代であれば、現場で起きている課題や問題を上司や責任者に報告することは重要な仕事です。しかし、40代に求められるのは、もっと大局的見地、高い視座から問題を引き起こしている原因を分析し、その解決策までをパッケージにした「提案」なのです。いつまでも「評論家」であってはならないのです。

 

 

3、「年上部下を使う」スキルを身に付ける

 

年上部下に具体的にどう接すればいいのか悩む人は多く、マネジメント研修に必ず登場するテーマでもあります。「年上の部下」への対処法を知ることは、現代の40代にとって必須のスキルといえるでしょう。

 

「これしか」という文脈では以下の「5つの心得」がポイントになります。

 

(1)あくまで「敬語」を使う
(2)期待と要望を明確に伝える
(3)「相談」を多用する
(4)仕事のやり方について、「自己決定」を促す
(5)「何を残したいか」を問う

 

 

4、「プレイヤーとしての自分をいったん捨てる」

 

平成に入ってからは、「プレイングマネージャー」「プレイングリーダー」が当たり前になりました。令和となった今では、下手をすると部長職までもがプレイングマネージャーであり、中小企業では役員までもが「プレイングオフィサー」となっていることも少なくありません。

 

当然のことながら、多くのマネージャーやリーダーが、プレイヤーとマネージャーの両立に悩むようになりました。

 

しかし、プレイヤーとマネージャーは永久に「トレードオフ」の関係です。結論から言えば、「プレイヤーとしての自分を捨てる」のが最善の策になります。つまり、「プレイヤーよりマネージャーとしての仕事を優先する」ということですが、優先するのではなく「捨てる」というくらいのマインドチェンジが必要なのです。

 

 

5、板挟みは、むしろチャンスと歓迎する

 

「40代が上司と部下との板挟みになるのは当たり前であり、日常」ということです。考えてもみてください。上の方針が何の抵抗もなく下に伝わり、下の思いや不満がスムーズに上に伝わっているとしたら、その中間に立つあなたには何の存在意義もない、ということになります。板挟みとはまさに、40代にとっての「日常」であり、自分の存在意義を発揮すべき場なのです。

 

それは、「上司と部下の橋渡しをする」ことです。ベクトル合わせといってもいいでしょう。上司や本部の決定をかみ砕いて、部下に伝える。

 

その際のポイントは決定の背景や理由を丁寧に部下に伝えることです。決して、「上が言っているんだから、四の五の言わずやれ」といった組織権力を使ってはいけません。かみ砕いて丁寧に背景を伝えるのがポイントになります。

 

本書では、「頑張るべきはここ」というポイントを「キャリア編」「会社編」「マネジメント編」「プライベート編」「タイムマネジメント編」「人脈編」「勉強編」に分けて紹介しています。本書で説明する「これ」だけを知っておくだけで、「頑張れば頑張るほどドツボにはまる」という40代のワナは回避できます。

 

少なくとも40代を後悔する人生にはなりません。

 

  ■書籍情報

『できる40代は、「これ」しかやらない』
著者:大塚 寿
出版社:PHP研究所
価格:1,650円(税込)

 

 

▼大塚寿氏×弊社井上のトークライブを、9月17日(木)に開催します!

 

 

この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。

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プロフィール

  • 大塚 寿氏

    大塚 寿氏

    エマメイコーポレーション 代表取締役

    1962年、群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修を展開するエマメイコーポレーション代表取締役。「営業サプリ」監修者。著書にシリーズ28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)、『50歳からは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)、『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)、『<営業サプリ式>大塚寿の「売れる営業力」養成講座』(日本実業出版社)など多数。2023年秋オンライン研修「営業サプリ」から『アカウントマネジメントコース』リリース。

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