2020/12/17
1/2ページ
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第94回
『50歳からの幸せな独立戦略』で定年後は「ひとり社長」を目指せ
- キャリア
- ビジネススキル
- 前川 孝雄氏 株式会社 FeelWorks社長・株式会社働きがい創造研究所会長・青山学院大学兼任講師
要するに、この法改正は、国がシニア社員に向けて「辞めて独立することも視野に入れなさい」という意思表示をしたと捉えることができるのです。この法律は、令和3年4月1日に施行される決定事項です。
自分の生殺与奪の権限を1社だけに渡すな~ローリスク独立による「ひとり社長」のすすめ
長年、終身雇用・年功序列というルールの中で生きてきて、まだその意識から抜け出せていないミドルの中には、「自分たちを切り捨てるのか」「なんてひどい話だ」と憤る人もいるかもしれません。しかし、時代の変化に伴ってルールが変わることは致し方ないことです。昭和、平成のルールのままでは企業が生き残っていけないことも事実。であれば、ルールが変わったことをただ嘆いているより、新しいルールの下でどう生きるかを考えるほうが、はるかに生産的です。そして、そのように前向きに考えたとき、特に大企業ミドルの新しい選択肢として浮上してくるのが「独立」なのです。しかし、それは人生を懸けた無謀な冒険ではなく、仮に失敗しそうでもダメージを最小限に抑え、再度やり直すこともできる「ローリスク独立」です。それは、ずばり「ひとり会社」の設立です。ひとり会社とはいえ、社長になることをあなたに提案します。
そもそも独立自体が、大企業ミドルにとってはリスクを低減するための有力な方法です。前述のように、日本型雇用のルールが崩壊した今、1社に依存してキャリアを考えることそのものが大きなリスクです。株式投資の世界で、1社に全財産を投資することが危険なのと同じです。
それなら分散投資をすればいい。そもそもこの不安定な時代に、相応のキャリアを積み上げてきた自分の生殺与奪の権限を1社だけに渡しておくことは、あなた自身のためになりません。「鬼滅の刃」で富岡義勇が竈門炭治郎に放った名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」ということです。
とはいえ、「自分には独立して通用するほどの実績もスキルもない……」と尻込みする人もいるでしょう。今まで大きな組織に守られて生きてきたこと、そして、ここ最近は特に、ミドル会社員が「ITに弱い」「仕事をしない」といったネガティブな評価をされがちと考えれば、自信が持てず、消極的になるのも無理のない話です。
しかし、企業で20年、30年とキャリアを重ねてきたミドルに「何もない」ということはあり得ません。蓄えられた知恵、磨かれてきたスキルが何かしら必ずあるはずです。要は、その知恵やスキルが市場のニーズに対応するかたちで顕在化されておらず、時代に合わせたブラッシュアップがされていないのです。
であれば、皆さんがすでに持っている価値を浮き彫りにするための努力をすればいい。私が推奨する「独立論」は、今後の20年、30年という長いスパンを見据えた提言であり、今すぐの拙速な独立を勧めるものではありません。今50歳前後のミドルが定年する60~65歳になる際に、自信をもって独立できる「5年~10年計画でのキャリア戦略」なのです。
それでは、どのようにして独立をめざしていくか。詳しくは拙著『50歳からの幸せな独立戦略~会社で30年培った経験値を「働きがい」と「稼ぎ」に変える!』(2020年11月発行、PHP研究所)をご参照ください。
他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
『50歳からの幸せな独立戦略』
著者:前川 孝雄
出版社:PHP研究所
価格:1,045円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
Copyright(C)ITmedia,Inc. All Rights Reserved.