TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 琉球アスティーダの奇跡 夢を実現する志の力

2022/03/03

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第124回

琉球アスティーダの奇跡 夢を実現する志の力

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創設3年でプロスポーツチームとして日本初の株式上場をはたした、琉球アスティーダスポーツクラブ。また、運営している卓球チームも初の日本リーグ優勝を果たした。なぜ、たった3年でここまで達成ができたのだろうか。

2021年3月、琉球アスティーダスポーツクラブは、創設3年でプロスポーツチームとして日本初の株式上場をしました。クラウドファンディングで株式を調達した企業としても日本初の上場となります。   また、運営している卓球チームも初の日本リーグ優勝を果たしました。   なぜ、たった3年でここまでの達成ができたか、お伝えします。

 
「志」を持つ

私は、これまでの人生で望むと望まざるとに関わらず、志を持たざるを得ない環境にありました。
 
19歳の時に父親の会社が倒産し、そのまま父が蒸発してしまったのです。行政は力になってくれず、新聞配達をして夜間の大学へ入り、どん底からはい上がってきました。
 
その経験で痛感したことがあります。それは「強い地域、強いもののための社会ではなく、弱い地域、弱いものに光を当てる社会をつくりたい」というものです。
 
卓球プロチームの打診を受けた時、卓球は5歳で始めて15歳で世界の頂点を目指すことができ、また貧富の差、性別の差、体格の差に関わらず、誰もがチャンスを与えられるスポーツであることを聞き、私の志がかなえられると直感し、引き受けることにしました。
 
弱いものが、強くなれる。志があるところには、必ず道が開けることを、私の人生をかけて証明したいという思いを持ちました。
 
しかし、会社を立ち上げたものの、厳しい茨の道が待っていました。
 
当初は、すでに数社のスポンサーが内諾しているので、会社運営の資金を心配することは無いと聞いていました。ところが実際にふたを開けてみると、大きく話がずれていて、ゼロから開拓しなければならない状況でした。
 
やると決めたからにはやり切るしかない。必死でスポンサー獲得に動きました。
 
しかし、どんなに企業訪問をしても「株なら買いたいけれど、スポンサーは厳しい」ということの繰り返しでした。
 
なぜ、こんなにも夢と感動を与えるスポーツに、日本人はお金を出さないのだろう、という疑問を持ち、その原因を分析したところ、スポーツ業界にお金が集まらない3つの理由にたどり着きました。
 
1、ガバナンス(統治)がきいていないこと
 
2、ディスクロージャー(情報公開)がされていないこと
 
3、上場会社が1社もないこと
 
つまり、適切な市場から、適正なお金を、適正に集められる仕組みをスポーツ業界が持っていないということです。
 
それをどう解決するか、その結論が、琉球アスティーダが上場することでした。

 
やり切る力 ―上場―

上場を決意してからは、さらに厳しい道を歩むことになりました。
 
予算と実績が乖離していると、上場審査にマイナスになってしまうのですが、実際社内でスポンサーを獲得できるのが、最初は私1人という状況でした。だから出来ない、では志はかなえられません。何が何でもやるんだ!という強い信念で突き進みました。
 
当時通っていたビジネススクールで偶然会った旧知の友人に時間をもらい、即座に数千万円のスポンサーをもらったこともあります。資金調達においても、真剣勝負のプレゼン1回でベンチャーキャピタルからの調達を実現しました。
 
会社設立から半年後に行った増資の際も、集まってくれた投資家の皆さまは、会社は何の実績も残していない段階だったのに、私という一人の人間を信じて出資をしてくれました。また、クラウドファンディングで株式を募集した時には、9分21秒で1000万円の調達をしました。
 
とにかく、ありとあらゆる正しい手段を模索して突き進みました。
 
私には、できるかできないか、ではなく、「やり切る」という選択肢しかありませんでした。だから、常に「どうしたらできるか」を考え続け、PDCAを回し、仕組化する。それを地道にひたすら繰り返すことで、基礎を作ってきました。
 
志があることによって、困難を成長への糧とし、やり切る力を得ることができるのです。

 
信頼 ―チームビルディングー

初年度最下位の琉球アスティーダを、なぜ3年でリーグ優勝へ導くことができたかについても触れたいと思います。
 
卓球に無知だった私は、最初は勧められた選手をそのままチームへ迎い入れ、試合に臨みましたが、なかなか勝つことができませんでした。
 
選手たちはもちろん実力があります。それなのになぜ勝てないのか。私なりに選手を観察し、研究と分析を重ね、私なりの方針を決めました。

プロフィール

  • 早川 周作氏

    早川 周作氏

    実業家

    大学受験直前に家業が倒産、父親が蒸発し家財をすべて失い無理心中寸前まで追い込まれるが、前向きな上昇志向で、大学進学を目指して上京。朝の新聞配達から深夜の皿洗いまでアルバイトをして、学費を作り明治大学法学部に進学。

    大学在学中の20代前半から、学生起業家として数多くの会社の経営に参画して活躍する。その後、元首相の秘書として約2年間勉強し、28歳で国政選挙に出馬、次点。

    経営者に戻ってからは「日本のベンチャーを育てる」という意志の下、日本最大級の経営者交流会を全国で主催。

    著書として『人生が変わる!「夢・実現力」』『小さい夢から始めよう。』がある。経済紙、新聞その他のメディア露出多数。

    2012年10月より2013年3月まで、日本経済新聞の子会社、ラジオNIKKEIで全国ネット冠番組「タイムリー・トークショー早川周作Co-Lab」に出演。30分の番組内では時事ニュースへのコメントや名経営者、現職大臣、知事等を迎え時事対談を繰り広げた。

    また、弁護士、行政書士、公認会計士、税理士、社労士が在籍する総合コンサルティンググループ『日本リーディングコンサルティング株式会社』代表として約90社の数多くのベンチャーの顧問やアドバイザーの立場で法務・財務・営業支援などを指揮してきた。

    2018年2月、沖縄から卓球のプロリーグであるTリーグに参戦する「琉球アスティーダ」やトライアスロンチーム、飲食店を運営する琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社を設立し、代表取締役に就任。2021年3月、プロスポーツチームとして日本初となる上場を果たす。2021年4月、女子チームに参入し子会社の九州アスティーダ株式会社を設立し、取締役に就任。同年8月、子会社のアスティーダマーケティング株式会社、AMG株式会社取締役に就任。また明治大学MBAビジネススクール講師に就任国立大学法人琉球大学客員教授に就任し業種業界を超えた幅広い分野で活躍している。

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