TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 プロジェクトの遅延リスクをいち早く察知せよ、プロジェクトマネジメントの最適解とは

2023/11/21

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第173回

プロジェクトの遅延リスクをいち早く察知せよ、プロジェクトマネジメントの最適解とは

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • 後藤 智博氏 株式会社ビーイングコンサルティング 取締役社長 COO パートナー

 
全てのプロジェクトの進捗状況と課題を延々と報告するプロジェクト会議は必要ない

実行中のプロジェクトが複数ある場合、つまり、マルチプロジェクト環境でこのような状況が実現できていれば、マネジメント層にどのように変化があるでしょうか。
 
どのプロジェクトに課題が発生しており、納期の遅延リスクがあるかを把握するためには、多くの時間と労力が必要となるため、マネジメント層の大きな負担となっているケースが多く見受けられます。状況把握に時間がかかり、対策検討や対策実行の時間が取れないまま一日が終わってしまうということも発生してしまいます。
 
プロジェクトの遅延リスクを色で把握することができれば、マネジメント層は、「赤のプロジェクトを優先的に支援する」という優先度の共通認識を持つことができます。全てのプロジェクトの進捗状況や課題を延々と聞くプロジェクト会議は必要ではないのです。必要なことは、遅延リスクが高いプロジェクトへのマネジメント支援だけなのです。プロジェクトの遅延リスクが明確に分かるだけで、組織の効率的なマネジメントが実現でき、マネジメント層に余力も生み出すことができるのです。

プロジェクトマネジメントの最適解とは

「“遅れるリスク”をいち早く察知し、遅れの根本問題を特定して、迅速に解決策を実行する」
 
これこそがプロジェクトマネジメントの最適解です。
 
全ての問題は「遅れ」として顕在化することは述べてきました。極端な話、プロジェクトの遅れにさえ意識を集中していれば、全てのタスクの遅れを気にする必要はないのです。タスクの遅れの中でも、プロジェクトの遅延に直結するものだけに注力できれば、どれだけ効率的にプロジェクトを遅延から守ることができるでしょうか。意思決定スピードが段違いになるのです。
 
どのタスクを優先的に実行すべきかも同様に判断ができるようになります。プロジェクトの遅延に直結するタスク=実行優先度が高いタスクとなります。全てのタスクが最優先ということは、もうありません。「このタスクが最優先、そのタスクとそのタスクは後回しでOK」といったマネジメントが自信をもって実行できるようになるのです。
 
この意思決定スピードは、プロジェクトのQCDを守るだけではありません。どんなに素晴らしいアイデアも、商品も、サービスも、その実現スピードが遅ければ競合他社に負けてしまいます。競合他社が高機能でなくても、ほどほどの商品/サービスを早期リリースしたことで、獲得できたはずの市場シェアを失ってしまうことも十分に考えられます。それは、目の前の市場シェア、売上高や利益だけではありません。将来的な事業展開の優位性を失ってしまい、その後の事業が後手後手になることさえあるのです。
 
遅延リスクの察知と意思決定スピードは事業成功の鍵でもあるのです。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
 
■書籍情報
Project Management進化論 クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント 単行本
 
著者: 後藤 智博
出版社:プレジデント社
価格:1,650円

この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。

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プロフィール

  • 後藤 智博氏

    後藤 智博氏

    株式会社ビーイングコンサルティング 取締役社長 COO パートナー

    株式会社ビーイングにて事業革新/商品開発にTOC(制約条件の理論)及びCCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)が導入されその考え方に感銘をうける。CCPM対応プロジェクトマネジメントソフトウェア誕生をきっかけに、2005年よりTOC/CCPMを活用したマネジメントイノベーションを支援するコンサルティング専門部隊として活動を開始。自動車メーカーやスマートフォンの新商品開発をはじめとする製造業、IT、医療、建設業など上場大手企業や中小企業などの多種多様な業種・業態へのTOC/CCPMの導入・実践・定着を数多く手掛けている。また、戦略と戦術のつながりを見える化するS&Tツリー(戦略と戦術のツリー)、組織の制約を特定する思考プロセスのエキスパートとして、企業そのものの変革にも数多く携わり、そのコンサルティング手法・幅広い知識・経験には定評がある。日本TOC協会(JTA)代表理事。

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