2018/11/19
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社長を目指す方程式
第1回
社長になる人は何が違うのか? 今回の社長を目指す法則・方程式…「カラーバス効果」
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆出世するミドルとして、今日から意識したい「視点」「視野」「視座」
言われれば当たり前のことなのですが、案外日頃意識していないのが、この、皆さんそれぞれが会社や組織内で位置づけられたレイヤー(階層)の「視点」「視野」「視座」にロックインされているということ。
組織の役割とはそれぞれが配置された「視点」「視野」「視座」で物事を捉え考え行動することですから、決してそれが間違ったこと、悪いことではありません。逆に課長が課長の見方、部長が部長の見方をしている(留まっている)ことは、組織や役割が機能している証拠だとも言えるでしょう。
しかし、時にそれが仇となったり問題となったりする。それは、戦後高度経済成長期における「先人と同じやり方をやれば良い」「アメリカなどで成功した事例を日本に持ってきて同じようにやれば良い」というような「昭和の企業組織の論理」が破綻して久しいからです。
平成もいよいよ来年4月で終わりますが、この三十年の〈平成の企業組織の論理〉とはなんだったかと言えば、「正解のないところに、自分で仮説をぶつけ、正解を見つけていかなければならない」時代だったということに尽きます。これはポスト平成にも継承されるテーマに違いありません。
よって、極論すれば課長も部長も(もちろん役員も)「社長レベルの視点・視野・視座」でものを見て行動し、現場のマネジメント個々が社長の分身として自律的にトライ&エラー、PDCA…Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)…を回し、その中から次の成功を見つけて欲しい。これが世の多くの企業経営者がミドルやシニアに望んでいることです。
◆社長レベルの「カラーバス・スイッチ」を入れよ!
「カラーバス効果」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
これは、例えば「赤いポストを探してください」と言われるとポストのみならず視界に入る「赤いもの」が目に飛び込んでくるというような心理学用語(「color(色)」を「bath(浴びる)」)です。
人は同じ情報空間にいても、その人それぞれがどのような意識(興味関心やテーマ)を持っているかで、自分の目や耳に入ってくるものは全く異なります。
人間の脳は、特定の事象を意識することで、その特定事象のみを積極的に認識するという性質を持っています。
社長、特にオーナー社長などがいつも、自社にとっての面白いネタを拾ってくるのは、社長にはこの社長レベルの視点・視野・視座での「カラーバス・スイッチ」が常に入っているからです。
立場や役割が、それに応じた「カラーバス・スイッチ」を入れるのは事実ですが、いくら部長だ、役員だ、あるいはサラリーマン型の場合だと社長だとすらいっても、その立場へのコミットがなければその人には適切なカラーバスは働きません。
逆に課長であっても、一般社員であったとしても、事業レベル、経営レベルの課題意識やテーマを持っていればその人たちには社長レベルの視点・視野・視座での「カラーバス・スイッチ」が入ります。タレント的に活躍する若手リーダーたちや社長昇進レースに乗っていく人には等しく「社長レベルのカラーバス・スイッチ」が入っているのです。
この連載でこれから、様々な角度から、課長や部長としてご活躍されている皆さんが、どうすれば「社長レベルのカラーバス・スイッチ」を入れることができるかについて、ご紹介していきますので、お楽しみにしてください。
※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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